2026年06月

ARDFの145MHz受信機の試作3号機です。

1.これまでのおさらい(1号機、2号機について)
これまでの145MHzバージョン1号機はAKC6955 DSP受信機(写真 赤色)。音感がでないのとRSSIが1dBステップで方位が定めにくかったのでボツ。

2号機(写真 青色)は3.5MHzのCW受信機を製作するときに同じ回路でシングルスーパーのCW受信機として製作したものですが、500Hz幅の水晶フィルターが入っており、高ダイナミックレンジ、低内部ノイズ、信号レベルに対する音感も非常によく出るため競技大会でも十分使えると感じました。しかし、145MHz帯はA2波(正確にはA2の断続波)であり、TX1~5がバラバラの周波数ででているため、1分おきに周波数を合わせないと聴こえないときも多く、大変面倒でした(他の競技者はAM受信機を使っているためもちろん問題はありません)。また、受信機の感度はよいのですが内部雑音が静かすぎて弱い信号のときに方向を定めにくいことがわかりました(AM受信機だとノイズがあるので低いレベルのときにSNが変化するので信号の強弱がわかりやすい)
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2.試作3号機の概要
そういうことで、試作3号機は、AM受信機、そしてマイコンを高性能のものに変更してこれまで組み込めなかった機能も追加してみることにしました。主な項目は、以下の通りです

①AM受信機(AGCなし)。ラジオIC評価やセラミックフィルターも使いたいので10.7MHz→455kHzのダブルス―パーとする
②マイコンをProMiniから高性能のRP2040に変更
③RSSI表示(アナログ電圧で連続データがとれるもの)
④プログラム減衰器(PE4302)実装。将来的にRSSIと連動させてダイナミックレンジを拡大する
⑤電子コンパス内蔵


3.基本構成
145MHzなのでいきなり455kHzに落とすと2mバンド内のイメージ混信の影響を受ける可能性があるため、ダブルスーパーとします。手持ちにFM用ですがMC3362があったので使用しました。このICは電源電圧は3.3Vでも動作し、200MHz位まで使用できます。データシートからブロック図を添付します。LOは、Si5351 PLLで発振させることにして赤で囲ったミキサー2段のみ使用しました。変換利得は0dB。つまり、入力に10dBu入ると,455kHzに同じ出力で信号が得られるのでIFアンプは50dB以上必要となります。
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最初、内蔵IFアンプが使えないかと思って実験しましたがFMのサチュレーションアンプのため歪が多く、残念ながら上手くAM検波に使えそうな途中の出力はありませんでした。また、Meter driveとあるのでRSSIに使えそうだったのですが、実際はスケルチ用途ということで簡単には使えませんでした。

次にIFアンプに低圧で動くAMラジオのTA7642を使ってみましたが歪が多く、AGCが聴いているのでレベル変化に対しての音の強弱が感じられないのでボツ。次になぜか大量に持っていたLA1600を使ってみました。

LA1600は、昔短波ラジオで使ったことがありますが、Sメーターなども出していた記憶があります。455kHzのIFアンプとしてつかってみたらどうか実験してみました。使うのは赤で囲った部分のみです。IFとRFアンプにAGCがかかっていますが、RFアンプを使用しないのでおそらくIFのみだとある程度のレベルまでは音感がでるように思えました。

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まずは、IFアンプの入力レベルを変えたときのAM検波出力とAGC電圧を測定しました。入力は455kHz AM(1kHz,50%変調)波です。オレンジ色の検波出力を見ると-70dBmから-30dBm入力までレベル変化します。この間の検波波形をオシロスコープで観測しましたが、歪も少なく綺麗にみえ良好でした。また、AGC電圧もとり出せRSSIとして使用できます。本来このAGC電圧をRFアンプにもフィードバックして利得制御を行っていますが、内蔵のRFアンプは使用しないのであるレベルでAGC電圧が急上昇する特性となっています。RFアンプも使いたいところですが145MHzまでは対応していないようで残念。次回は、10.7MHzの1st IFから使ってみたいところです。

しかし、高レベルでなければ復調音で強弱が分かるのでARDFには好都合の特性と思います。そして、過大入力保護のため出力がミュートされる機能があり、これは耳を保護してくれる反面、発振器の近くで音が出なくなる可能性もあります。そのため、ある程度のアッテネータを入れておく必要があり入力にPE4302のアッテネーターを追加しました。

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4.その他機能

(1)RSSIと電子コンパス
RSSIは、先のAGC電圧をそのままマイコンに入れて表示しています。データはエクセルで取得してチャッピーに送るとテーブル変換のソフトを作ってくれました。

電子コンパスも簡単にマージして一発で動作、前に使っていたマイコンArduino pro-miniだと、いろんな対策をしてもどちらかしか動作してくれなかったため、別々のケースに入れてました。

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(2)PE4302 アッテネーター
昔買って評価したパラレル制御で31dBまで0.5dBステップで制御できる中華ボードを内蔵しています。とりあえず、手動で15dBと 30dBを切り替えられるようにする予定ですが、回路が固まったらRSSIと連動させて音感がでるように自動で可変でアッテネーターが入るようにしてみたいところです。写真の左側に張り付けている緑の基板が該当ユニットになります
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5.さいごに
音感で強さは分かるので耳Sは今のところ不要かなと思っています。受信機の特性は、2号機には及ばず、ダイナミックレンジもかなり狭いです。しかしながらAMのメリットもありますので、実際の競技大会などで試してみたいと思います









昔の定番ICが入手難になってきました。ラジオ用DSPチップは、いつも使っているAKC6955も高額で入手難になり、どうしようと考えていた時にSi4732がまだ入手できるということで評価ボードを作って実験してみました。

Si4735は、数年前に作った還暦ラジオで使ったことがありますが、ソフトウェアで外部からのBFOなしでSSBを復調できました。現在は中華サイトでも品薄で1個千円以上ととても手が出ませんが、Si4732でもSSB復調ができれば、3.5MHzのARDF受信機が1チップ(別にマイコンは必要)で超簡単に作れる可能性があります。

最近は、ソフトウェアは、すべてAIに作成してもらっていますが、今回はハードウェア設計も依頼してみましたので以下、手順なども見て頂ければ参考になるかと思います。


手順1.設計をチャッピーにお願いする
もう、どんどん自分で考えなくなってしまいました。依頼内容は、「ARDF用3.5MHz CW受信機を作る。si4732,RP2040,OLED2306を使う。ロータリーエンコーダーで周波数を可変できる。」これだけ。これでいろいろと資料を出してもらいます。ここで注意しないといけないのは、チャッピーはRFの回路図は勉強不足で使えないということです。間違ってもそのまま製作してはいけません。信号ラインがアースにつながっていたりとんでもない回路図を作成しますので、ここは、自分でしっかりと確認して作ることが大切です。


手順2.評価ボードの回路図作成
マイコンは、これまでArduino ProMiniを使っていましたが、さすがに古すぎたのでRP2040を使用。また、自分のARDFのスタイルは電子コンパスを実装しているので、評価ボードにも搭載します。チャッピーが出力ピンアサインや簡単な接続図などは教えてくれるので、Webで出力したデーターシートを参照しながら回路図を作成します。

評価ボードの回路図は、簡単ですが以下のようなものです。ここで、電源回路は今回製作しないでUSB経由でマイコンボードから3.3Vを供給しました。回路は制御をI2Cで行っているので非常にシンプルです。

4732評価ボード回路図20260528


手順3.評価ボードの製作

この程度のものなのでブレッドボードでなく蛇の目基板に配線しています。数時間で完成できると思います。緑の変換基板にあるのがsi4732、右上の基板が電子コンパスです。

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手順4.ソフトウェア製作
Arduino IDEでいつものようにチャッピーに作ってもらいました。依頼は、「作成してください Si4732 SSBパッチ込み完全スケッチ」これだけです。


手順5.動作確認
最初は、動かないと思います。その度にエラーメッセージをコピペしてチャッピーに投げると、「ライブラリが古い」とか間違いを指摘してくれるので何度かやり取りをすると動くようになると思います。SSBパッチもよく分らなかったのですが、質問すると詳しく教えてくれるので勉強になります。

これまでだと、このレベルのソフトウェア設計をするのに1週間くらいかかったと思いますが、1時間もかかりません。これは本当に驚くべきことです。こんな感じで評価ボードが完成しました。


次にARDF受信機としての評価をしてみました。



<評価実験結果>

①受信安定度
まず、気になったのがCWの復調音です。復調周波数がふらついており不安定でした。これをチャッピーに質問しながら対応したのですが、結局は液晶の書き換えを止めると安定することから、書き換えが影響していることがわかりました。RSSIや電子コンパスが毎回書き換えしているのでデーターの変化が出たときにだけ書き換えるようにプログラムを変更、完全とはいえませんが改善することができました。


②受信感度
3.5MHzでSGの最低レベル-120dBmの信号をいれても良好なSNで受信できました。受信アンプなしで十分使える感度でした。


③入力信号に対する受信音の強度変化
実際、一番残念だったのがこれ。入力信号の変化に対してAGC OFFでも殆ど音声レベルの変化が感じられません。もちろん信号レベルが低ければそれなりに雑音との比較で変化は感じられるのですが...

ARDFの装置を作り始めたときに経験者からSNSでよく聴かれたのが「受信機のAGCはない方がよいということ」でした。実際の競技ではSメーターは殆どみることがないので今年の初めに1号機をAKC6955というDSPで作ったのですがAGCがOFFにできず、2号機でレガシーのプロダクト検波に変更した経緯があります。

このあたりの比較がわかるように入力レベルを0~70dBu変化させたときの音声出力の動画を作成しました。動画の最初が現在使っているレガシーのダイオードによるプロダクト検波、次にDSPを使った評価ボード(CW)、最後にDSPを使った評価ボード(AM)となります。



Si4732はAGCをOFFにできるので期待していましたが、RSSIをみるとAGCのオンオフは動作していますが音声処理で利得制御が働いているようで殆ど変化がないことが動画で分かると思います(もちろん放送受信には、変化がない方が聴きやすい)。

本機で入力信号レベルの変化に対するRSSI値を測定したAGC特性データは以下の通りです。ソフトウェアのAGCオンオフは機能しています。ただ、リニア領域のところでRSSIは変化しているものの音声出力レベルは殆ど変わっていません。
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④RSSIの周波数特性
次に残念だったのがこれ。ARDFでは、音声レベルが変化しないのであればRSSIをもとに強弱を把握する方法があるのですが、評価ボードをCWにして3.520MHzで受信した状態で、受信機入力の周波数を変化させて帯域外にしてもRSSIレベルを検出していることがわかりました(下図のデータの青色グラフ)。通常、ARDFの80mは、3.520が探索周波数ですが、ゴール地点では3.570で強いビーコン信号が出ています(ゴールに戻るときに使う)。RSSIを方向探索に使うとビーコンの影響を受けることになり問題となります。参考までにこの特性は、AMモードの時は問題はありません。

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⑤電子コンパス
先の表示機の書き換え時の周波数のふらつき以外は問題なく、電子コンパスも同時に動作できました。


まとめ
Si4732で非常に簡単に3.5MHzの高感度のCW受信機ができました。これから受信機を製作される方の参考になるかと思いますが、ARDF向けには方向探索ができるような手段を追加しないと難しいかも知れません。実験されてよい方法があれば教えてください












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