2024年10月

前回、FM無電源ラジオで受信に成功したときに手持ちの各アンテナを持って行き受信電界強度測定を行いました。GAWANTモドキ、磁界ループ、そしてダイポールによる各放送局のレベルをみるとアンテナ利得の比較になります。値をみるとこれまでアマ無線で実験していた時の想定利得と同じでした。

まず、各アンテナの受信電界強度測定時の写真です。

GAWANTモドキ
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磁界ループ
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ダイポール
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強く受信できる局のみ測定しました。各アンテナの偏波面が異なるので局によって磁界ループよりGAWANTモドキの方が強い場合もあったりしますが、平均レベルからダイポールを基準にすると磁界ループの利得 -12dB、GAWANTモドキの利得 -17dBとなりました。ローカルFM放送局の信号は変化しないのでアンテナ実験で性能を求めるときに便利です。
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また、今回受信に成功したのはJ-waveのみですが、受信電界強度83dBμVは(0dBm=107dBμVとすると)83-107=-24dBmとなり製作した受信限界値であったことが分かります。これらの値をよく頭に入れておくと電測で受信できる局が分かったり、受信できる場所探しに使えます

参考までにJ-waveはスカイツリーから7kW送信 ERP15kW、距離が27kmあり、受信電界強度を計算で求めると以下のようになり計算値とほぼ一致するので、どこで受信可能かあらかじめ計算しておくこともできます。

また、製作した受信機は-10dBm程度の入力があれば静かな部屋で快適に聴こえるので、このグラフからスカイツリーが見える5km以内のところであれば楽しめるのではないかと思えます

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前回の記事では、変調波を聴くには+10dBm程度の入力が必要で失敗に終わりました。送信所近くで聴くにしても-20dBm程度で聞こえないと実用性は殆どありません。

前回の試験でダイオードでAMを検波する場合の感度が-20dBmが聴こえる程度だったのでFMでもこのくらい聴こえれば移動すればよさそうです。しかし、どのような回路がよいのか分からなかったのでネットで検索したところ海外でクリスタルラジオという呼び名で自作を楽しんでいる方々がおられるのが分かりました。

そのときに見つけた文献はこのようなものでした。銅パイプで作られたキャビティに入った共振回路とレシオ検波からなる大型ラジオで30km離れたFM局を沢山受信されていました。さて、この装置でどのくらいの受信感度が得られているのか知りたかったのですがどこにも記載がありません。そういうことで一通り同じようなものを作って実験してみることにしました。

1.キャビティの製作
基本となるヘリカルレゾネーターは銅パイプを使ったHigh-Qのものとなるので、最初は同じようなものを作ってみました。キャビティは銅板で作成しようと思いましたが、有馬温泉の炭酸せんべいの缶があったので使ってみました。
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最初Qが低かったのですが、入出力回路をいろいろ実験した結果、Qは200以上とれるようになりました。その時の回路損失は、4dB程度となり少し多いのですが、検波効率を高める方が有利となるためにQを優先します。
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2.検波特性
このキャビティでスロープ検波で試したところ感度は-12dBm程度までSGの変調波が聴こえる程度でした。その後、先の文献のレシオ検波など試しましたが-15dBm程度であまり改善しません。

文献では検波ダイオードのことも書かれていました。私は手持ちのものを比較して一番よかった1S1916P3を使用しています。聞いた感じは1N60より5~10dBくらいよいようでしたが、海外の方々が使っているものとどのくらい差があるか分かりません。

その後、自分で考えて検波回路を実験しながら改善したところ-25dBm程度まで聴こえるようになったので屋外で受信実験をしてみることにしました。

検波特性は、1kHzで変調をかけたSGからの信号を周波数を変化させながらオシロで受信出力レベルをみてみます。+-200kHzと少し帯域が広いですがFM検波の形にはなっているようでした。
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SGで試験するとバリコンが非常にクリチカルです。そのためバーニアダイアルを取り付けいろいろ聞いているうちにバリコンの容量が少ない方がQが高いためよく聴こえることも分かりました。

3.外観
外観はこんな形になりました。持ち運びには少し大きいのですが、いい感じです。
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4.屋外実験
屋外実験は、高台の団地が障害物になりスカイツリーは見えない近所の丘(海抜42m、スカイツリーから27km)に登って試してみました。FM用ダイポールを使って自作電界強度計で測定した結果、スカイツリーからのJ-waveとNHKが82dBμVと聴こえそうなレベルだったので、無電源ラジオに切り替えて聞いてみました。

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結果、J-waveが聴こえました。初めてFM放送を無電源で聴くことができて感激です。道路や周りの騒音がなければ楽しめたと思います。NHKは変調度が低いので確認できませんでした。

今後は、さらに他のダイオードに交換したり、この設備で都内や山の上で受信を試みたいと思います。





大阪府の未ACTが残り3箇所となっていたのでそのうち難所と思っていたJP-1959 ちはや園地に10/9行ってきました。

大阪のPOTAは山登りが多く、生駒山の尾根沿いにある みずのみ園地、なるかわ園地、ぬかた園地を夏に縦走ACTした時に、あまりのしんどさに園地は当分無理と思っていたのですが...

ちはや園地は、南河内郡千早赤阪村という大阪の外れ標高1000mのところにあります。以前はロープウェイがあったのて簡単に行けたのですが廃業、富田林駅から登山口までの金剛バスも今年無くなったのでアクセスが非常に悪いです。

そういうことで、今回は車で登山口有料駐車場まで行き、60分登山してきました。途中は殆ど舗装路ですが急な登りが最初から最後まで続くので行かれる方は靴や服には注意しましょう。今回は涼しくてよかったです。

登山道
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ちはや園地の案内板
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休憩所の前のベンチにアンテナを設置
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運用は11時から開始。サイトをみるとPOTAのACTは今年2回しかされていないようでしたが、いつもの40mが全く入感なし。大阪の局がGWで呼んでくれないかと40mでCQを出してみたのですが15分応答なし。NICTのサイトをみるとフレアのレベルが久しぶりのレッドゾーンで電離層反射が殆どされていない状態でした。

デリンジャー現象の時は低い周波数から影響を受けやすいため、30mにQSY。自作無線機は40mのみ5Wで、その他のバンドは0.5W運用となるのであまりやらないのですが仕方ありません。何も聴こえない30mでしたが1,2,3,9エリア4局からコールあり。

応答が無くなったので次に20m、ここでも1エリア3局と交信、17mではアクティブなDS1TUW局からコール頂きました。

ここまで一時間経過。雲に覆われ風も強くなり寒くて早く下山したいのですが、その後なかなか呼ばれません。山の上なので6mも考えたのですがちょうど南米祭りで混信になりそうなので諦め、40mに戻ったところ3エリアの局から、最後に30mでAKCメンバーのLSE局と交信できてACT完了。久しぶりに90分くらいかかりました(^^)

普段40mバンドで15分くらいでACTできてしまうのですが呼ばれないと本当に大変。しかし、POTANT-7のクイックQSY機能はこういう時に本当に助かります。トランシーバーの周波数を変えてアンテナのバリコンをメーターの振れが最大になるように回すだけ。ラジアル線は10m長のままでも、どのバンドにも瞬時に出れます(30mバンドのみSWRが下がらない時がありますが)。

下山して、そのまま和歌山であまりACTされていない公園でも運用しましたが40mは復活しており簡単にACTできました。

最後にNICTのサイトから
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先月のNT東京でFM無電源ラジオをみた帰り道、簡単にFM検波する方法はないか考えてみました。

簡単なのは同調コイルの傾きを利用したスロープ検波になりますが、その時に水晶振動子を使えないかということを思いつきました。昔、クリスタルフィルターを実験している時にAM用の6kHz幅のフィルターでナローFMが綺麗に復調できたこともあります。

しかし、FM放送の周波数の水晶振動子は市販されていません。そこで、振動は弱くなりますが奇数倍を使って実験してみることにしました。

放送局の周波数から手持ちの水晶振動子を探すと16MHzのものがありました。5倍は80MHzですからFM東京と同じ周波数になります。

早速、回路を組んでみました。感度の変化を見るために入力はSGが接続できる50オームとして、1:9のトランスで450Ωにしたところで水晶振動子を通して倍電圧整流してクリスタルイヤホンで聴くという回路です。水晶振動子はご存知の通り、Qが高すぎて周波数幅が取れませんので、これで復調できるのか確認するのが実験の目的です。

回路を作り、SGから1kHzの100%変調波を入力したところ聴こえました。レベルは、-15dBmまで聴き取れる感度です。参考までに水晶をバイパスしてSGからAM信号を入力してみたところ-25dBmまで聴こえたので予想よりは使えそうな感じがしました。

しかし、このFMラジオで放送を聴くには最低でも10dBm程度は必要ですので実用性は殆どないようです。

回路図、SGから入力した信号の復調音は動画でご覧ください。





9/29(日)6時の新幹線で名古屋に移動、イベント出展しました。入場者は、2,800名程度ということでした。これは、7月の関ハム(初日5,000名)の半分位。

事前にパンフレットをみたところ関ハムと比べて出展者数が少ない、さらに自作系の出展者はあまりみあたらない感じがしました。また事前予約を受け付けていたのですが申し込み数もあまり多くなかったので心配していました。

しかし、来場者は予想より多く頒布品も殆ど品切れになりましたのでよかったです。多くの自作好きの方々とお話しできて楽しい時間を過ごせました。差し入れなども頂き、ありがとうございました。

イベントの会場は、名古屋市公会堂(写真)でJR鶴舞駅から歩いてすぐの好ロケーションでした。8時前には到着していましたが、入場は、0830から。さらに出展する集会室は0900まで施錠されていたため、結構待ち時間が長く、出発はもう少し遅くしてもよかったかと。

今年のAKC出展はこれで終了となります。個人的には、11/10 電波文化祭(狭山)、11/30 コンテスト講習会(立川)にも参加する予定ですのでお会いできましたら嬉しいです

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AKCブース。JA6IRK局と
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私の当日の頒布品(事前予約後に余ったものを持参)
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反省会は、会場近くで
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翌日はレンタカーで愛知、三重、岐阜の県境の公園をPOTA移動してきました。

●JP-0209 国営木曽三川公園
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●JP-1433養老公園
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