2024年04月

FT8で30-40mのPOTAをやっていると0.5Wと10Wの差が意外にも少ないことが分かります。レベルにすると13dBの差、SSBやCWだと弱い局に応答しない方が結構おられますがパソコンでデコードできれば交信できるFT8だとハイパワー局と同じように表示されます。例えば相手がもし10W局でSNR -10程度で入っていればこちらの信号は-23程度で交信できる可能性があります。実際に30-40mバンドで受信していると多くの局が-10以上で受信できているので混信がなければ十分に楽しめると思います。

10Wにすると確かによく飛ぶのですが、最近でもリニアが故障した青ヶ島・八丈島移動や後半バッテリー切れとなった滋賀県全POTA移動でも0.5WにしてもACTはできました。また、10Wでもコンディションが悪ければCQ連発になることも多いので10Wのメリットは自分の中ではかなり少なくなってきました。

それ以上に重くなったりリニアや電源の配線が面倒で1日に数か所早回りすることが多い私の運用形態でかなり負担になっていたので、リニアなしの運用スタイルに戻すことにしました。

そこで昨年末に製作してRFの回り込みが解決できずにいたハンディ機を思い出し、復活させてみることに。これは本体にPOTANTを実装して、さらに電池は充電式でなく18650電池を使って予備バッテリーと交換することで長時間の運用を可能としたものです。重さは、アンテナ、電池、スマホ含んで585gしかありません。

筐体内に電圧給電のロッドアンテナがあるので基板に直接回り込みます。対策をしないと0.5W運用も厳しいくらいですが、内部にコアをあちこちにいれて自宅では一応、1W運用ができるように改善したようにみえたのでPOTAで試運転してみました。
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サイズはかなり大きいのですが、小型ケースに2m長のロッドアンテナを実装すると片手で持つことが難しくなるのである程度の大きさが必要となります。また三脚にも取り付けられますのでそのときにも筐体にある程度の長さがあり電池とスマホの重みがあることで安定して立たせることができます。

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試運転では、POTA 5か所をまわりました。スマホ用の三脚(380g程度)を持っていたので設備の重量は1kg位でリュックにいれて23000歩歩きましたが楽になりました。

回り込みについては実際に公園でやってみると30mではまだダメで0.5W程度に減力しないとマイコンがリセットされました。ラジアルなしだとOKなのですが、ラジアルの張り方や長さにも影響はあるようなので、最悪はシールドする必要があるかも知れません。

休日ということでバンドも混雑しており、頻繁にDFを変えて運用しましたが1か所あたりだいたい30分でACT完了できたので十分かと思いました。

電池は、18650の2000mAHを2本使っていますがCQ連発で5か所回っても8.2Vが7.7Vになった程度でまだ50%程度は残っているようでしたのでかなり余裕があります。念のため予備電池を持っていれば一日遊べそうでした。

最後にこの日のPSKR(左が40m、右が30m)です。今回の公園は街中や森林で気に囲まれているとことが多く、CQ連発が多かったのですが、北海道から九州まで飛んでいたようです。

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4/24,25 混雑するGWを前に滋賀県のPOTA全ACT移動をしました。

ルートは以下のように2日行程で大阪から車で初日は湖東を北上して長浜泊、次の日は湖西を南下するルートです。滋賀県のPOTAは全部で15か所あり、下図では14か所、それに④⑤は2ferでさらに三上・田上・信楽県立自然公園がACTされます。滋賀県のACTは今回初めてとなります

マップ

設備は以下のいつもの自作機です。
●WVU-604F2 0.5W トランシーバー(充電式)
●10Wリニアアンプ(モバイルバッテリー)
●POTANT-7 アンテナ
●FT8端末はスマホ(FT8CNアプリ使用)

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初日は一気に高速で信楽ICまで行き、陶芸の森からスタートしました。雨は降ったりやんだりで風も強かったので三脚に設置するPOTANT-7にとっては厳しい運用となりました。今回は風対策として車のドアに固定するようにして倒れることなく運用できました。

1日でこれまでの最高の7か所のACT(2ferがあるので実際は8か所)ができました。10Wリニアアンプは上の写真の無線機の下にあるモバイルバッテリー(容量8000mAH)から供給しているのですが5か所くらいしか持ちません。車で移動中に充電することで計画していたのですが充電電流が大きすぎて車の充電回路の保護回路が働くようで全く充電できませんでした。

一方、トランシーバーは2400mAHのリチウム電池を搭載しているので5か所回っても40%くらい残っています。そういうことで最後の2か所はリニアアンプなしの0.5W運用となりましたが、夕方になってコンディションも上がってきたのでポチポチ呼ばれて何とかACTできました。

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また、雨が降っているときはビニール袋を被せて運用しました。
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二日目は、好天。朝9時までに2か所ACTすると10か所になることに気が付き、慌てて早朝にチェックアウトして運用しました。そのあと、湖北の湖岸をドライブ。昔実家があった近江今津の近くのマキノ高原にも立ち寄り久しぶりにメタセコイア並木も新緑でなかなか良かったです。
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初詣によく行った白髭神社(琵琶湖に鳥居があります)。そして近くの食堂でランチ。
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今回、この日も最後の2か所は0.5W運用となりました(写真は最後の尾花川公園。トランシーバーは三脚にぶら下げています)が、デリンジャー現象で初日よりかなりコンディションが悪くACTに1時間もかかり苦戦しましたが何とか完了できました。何度も空振りのCQをだしてたまにコンディションがあがったときにActiveなHunterの方々が数局同時に呼んで頂けるのでみなさん待機して頂いているのだなと思いました。

FT8の40m-30mの国内POTAは、コンディションがよければPOTANT-7で0.5WでもACTは十分可能で楽しめます。10Wにしても凄く飛ぶというイメージはなく、コンディションが悪ければ空振りCQ連発になることも多いです。そういうことで3~5W程度にしてバッテリーを長時間持たせるようにした方がよいと思いました。次回からは減力運転できるように改造してみたいと思います
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最後に今回受領したアワードです。初のエリアコンプリート、1日10局交信ができて喜んでおります。Hunterの皆様、今回も苦しいところ大変ありがとうございました。
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先の記事を書いたあとXでの皆様からのコメントなどを見ているうちに、40mなどの国内の電離層反射によるアンテナ比較は、同じタイムスロットで同じ場所から比較しないとあまり参考にならないと感じました。

まず、PSKRから取得できるデータもよく分らないので、迷惑かと思いましたがサンプル欲しさに短時間で自宅から固定局と移動局を比較する2つのアンテナにそれぞれ接続、同時に数分のみ実験運用してPSKRのデータを取得してみました。(一応、免許状は2つ所有しています)

1.比較するアンテナ
●POTANT-7: 木造2Fのベランダに三脚で設置4mH、ラジアルは10m長を庭に水平展開 
●スローパ―: 庭のタワーの8mH部分から10mワイヤー展開


2.比較方法
2台のトランシーバーをそれぞれ0.5Wに設定、POTANT-7を/P付、スローパ―を/PなしのコールでDFをずらしてCQを出して、PSKRのログデータで比較する


3.結果
PSKRのマップでの比較...スローパ―はフルサイズですがエレメントとタワーの角度が狭すぎて普段からあまり飛んでいないのであまりよい比較にはなりませんが、POTANT-7(2Fベランダで高さも少しあるので条件がよい)がエリア的に予想外に飛んでいることが分かりました。
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また、同じタイムスロットでのSNR比較ですが、次項で記載のとおり、少ないサンプルしか比較できませんでしたが、同じところのSNRをみるとスローパ―の方が0~5dB強く飛んでいることが分かりました。先のマップでの比較と反するデータとなりました。やはり同じ時間でみないと比較にはならないと感じます
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数分の実験を2回しましたが、こんな短時間でもPOTANT-7で3局、スローパ―で2局応答がありました。普通に交信しながらでも実験を進められるのはよいと思いました。


4.データ取得でわかったこと
①PSKRからの取得データをみると下図のように特定局から数分おきにおくられてくるようでリアルタイムではありません。下図のTIME ONの色分けしたところがタイムスロットになりますが、電波を出して最初に一度にデータを集めることができますが、次のスロットでは新たに受信した局からしか来ません。そのため、同じタイムスロットで多くの比較データを集めるには、2つのトランシーバーの最初の送信タイミングを同時にする必要があります(今回、送信機の場所が離れていたのでそれができなかったので同じタイムスロットでの比較サンプルがあまりとれませんでした。次回、方法を考えてみたいと思います)

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②2局同時運用して交信に入った場合、JTDXは/Pの有無に関係なく認識してしまう。
...今回、JTDXで固定局コールで運用していたのですがFT8CNで運用していた移動局/Pコールの方で応答がありました。そしてその交信が始まったときに、なんとJTDX側も交信状態になってしまいました。JTDXは呼ばれれば/Pのあるなし関係がないようなのでこの運用方法は上手く行かないです。2つのコールであればこの点は問題ありませんね。

POTANT-7の記事を書いたところ以下のようなコメントがありました。

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市販のアンテナは興味がないので全く知らないのですが、同じ長さの短縮コイルのアンテナの方が遥かに効率がよいという意見のようです。自分のこれまでの実験から、同じ形状でマッチングが取れている同じ長さのアンテナの飛び具合はほぼ同じではと思っています(ここではコイル抵抗の発熱分などの微妙な差は無視)が、この点は検証をしてみたいと思います。

簡単にコイルを使った短縮アンテナを作って切り替えて受信感度を比較してみれば簡単ですが、POATNT-7は垂直ロッド部からの放射が少なくラジアル線からの輻射が強いと推測していることで通常のバーチカルより打ち上げ角が高いのではないかと思っています。そのため、単純に市販のホイップと受信比較しても意味がなく、例えば近距離と長距離でのSNRがどのくらい差があるかなども分かる方法はないかと考えていました。

そこでいつも飛んでるチェックに使っているPSKRを他局と比較すると面白い分析ができるのではないかと思いつきました。先日、自分が埼玉県で移動しているときに同じ時間帯に同一県内で移動をされているOM局がおられ、効率がよさそうなセンターローディングのアンテナでモービル運用をされていたので帰宅してから比較してみました。

下図が比較ですが、ぱっとみるとかなり飛びの差があると感じますが、出力差7dBと運用時間(こちらは電車と徒歩移動して3か所から運用しているので電波を出している時間が短かかった)、そしてもしPOTANT-7の打ち上げ角が推測通り高ければ距離500km以上は飛ばなくて普通なのでPOTANT-7もそんなに悪くないようにも思えます。

また、このとき忘れていたのですがPSKRにはADIFでデータを取得できるのでそれを使えばベンチマーク対象局との電力の7dB補正や、さらに同じ時間帯のデータのみで比較ができるということです。次回の移動からはこの点も考慮していろんな局と比較実験して分析をしてみたいと思います。

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先日の青ヶ島、八丈島からの運用でリニアが壊れて久しぶりに0.5WとPOTANTの組み合わせで運用したのですが予想外によく飛んでくれたので驚きました。そして運用しているときに送るリポートと受けるリポートの差がすごく少ないことに気が付きました。前に運用していたときには20dBくらい差があったのですが10dBも変わらないような感じでした。

いろいろ分からないことが多いPOTANTですが、このことが気になって4/17に修理完了したリニアを持って10Wで八王子と町田でPOTA移動をやって比較してみることにしました。設備はリニアのあるなし以外は同じです。周波数は7MHzのみとしてログからCSVを取り出して送受信リポートを平均したものを以下のようにまとめてみました。端末はスマホ(FT8CN)使用ですが、10Wの方が差が大きいことが分かります。

レベルメーターをみても10Wにすると確実にメーターの振れは増加しているのにも関わらずあまり飛んでないように思え、なぜこうなるのか気になりずっと考えていました。

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そこで思ったのは、コア(T106)が磁気飽和しているのではないかと。確かにコアは10Wのときは発熱が大きいので一度調べてみることにしました。調べる方法は、POTANTのコア部分を空芯コイルに置き換えたものを製作してレベル計で比較してみることにしました。
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レベル計は、頒布しているTE-2101Cの電界強度モードを使いました(いろいろの実験に使えるので便利です。下リンク参照)。1m程度離れたところにおいて相対レベルで比較してみました。
https://x.com/7L4WVU/status/1720184835610947785 

結果は、以下のように差がないことが分かりました。10Wにするとそれなりにレベルが上がりますのでコアの飽和はないようで安心して運用できそうです。
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それでは、先の疑問は何が原因なのでしょうか。想像ですが、前に運用していた0.5Wでリポート差が20dBくらいあるときはPCでJTDXを使用していて、今回の比較はスマホでFT8CNアプリを使用していることなのかなと思っています。FT8CNは前からQRPなのに相手からもらうリポートの方がよいことがあったりしました。今回、こちらからおくるリポートで一番よいものは、-3で、0以上というのは1局もありません。これはアプリなのかスマホの性能なのか分かりませんがコンディションが良いときはこちらの受信SNRが-3くらいから上がらないことで相手側の受信SNRとのレベル差が少なくなるのではないかと推測しています。これは別途実験してみたいと思いますがアンテナ側の問題ではなさそうで少しすっきりしました。

しかし、アンテナもFT8CNアプリも謎がいっぱいです。こういうことを考えたり調べたりすることで飽きることなく無線は楽しめますね(笑)

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