カテゴリ: 衛星通信

先月から作っている145/435MHzの受信機の動画を公開しました。

宜しければご覧ください。

基板は発注済みで到着待ちです。
実戦で使えるようでしたら頒布したいと思います。




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タイトルをトランシーバーから受信機に変更しました。

自分用のトランシーバーを作る予定でしたが、小型の電池で動作する衛星受信機があれば、ポータブル機を1台しかもっていない方にも衛星通信を楽しんでもらえるのではないかと、ふと思った次第です。

そこそこ簡単に実用的なものが作れそうな感じなので、ここからさらに小型化、基板化して頒布までできればと考えています。

そういうことで私も送信機は昔作った2mのトランスバーターがあるので組み合わせてみることにしました。トランスバーターはもともと出力が10Wの設計ですが、なぜか2W程度しかでていませんでした。2mはあまりやらないのでこれでも十分だったのですが、今回は中身をチェックして増幅段のコイルを変更して10Wでるようになりました。

しかし、このトランスバーター、ケースがプラスチックケースということもあり、結構筐体からの放射が結構あります。ダミーロードで送信しても、435MHzの衛星バンドにあちこちに信号が聴こえてしまいます。
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それでも、ループテストをやってみました。
145MHzのアンテナはベランダホイップ、435MHzのmoxonアンテナとの距離は1m程度です。RS44でEL60度くらいの衛星があったので145MHzで送信してみました。トランスバーターからの飛び込みと区別が難しかったのですが、かぶらない周波数で送信したところ弱い信号を受信、ドップラーシフトもありましたのでなんとか成功することができました。

実際に交信するには、アンテナはもう少しグレードアップする必要がありそうです。

トランスバーターからの飛び込み対策としては、シールドを追加しました。加工が面倒なので実際は金属ケースを使用する予定です。

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これだけでも効果はかなりあります。飛び込みはかなり抑えることができました。



受信部ができてきたので、衛星通信のアンテナを準備しています。2バンド必要なのですべて自作するとなるとなかなか大変です(笑)

435MHzは、園芸バイプで作った7エレがあるのですが、回転機構まで自作するとなると今年いっぱいかかりそうなのと、送受信のダイアル制御だけで手いっぱいでアンテナ制御まで手動でするのであれば難しいと思い無指向性でできないかと思うようになりました。

まずは、針金で作ったダイポールでどのくらい受信できるか試したのですが、思ったより聞えたのでネットで調べてみたところQSTの記事が面白そうでした。

久しぶりにアンテナシミュレーターMMANAを使ってオリジナルの寸法のパターンをみて上方向のレベルを押さえたものを検討しました(簡単に確認するため90度移相分は含んでいません)。記事より垂直エレメントを長くしてみました。下図でオリジナル寸法が上、垂直エレメントを長くしたものが下図になります。垂直方向のレベルを抑えて、水平レベルが伸びているのがわかります。
MOXON1

MOXON2


構造ですが、上と下のエレメントをどのように構成するか考えて、ホームセンターで材料を探していたところABSパイプが目に留まり、デザインがひらめいたので3Dプリンターで支持部を作ってみました。この透明チューブにエレメントワイヤーを通す構造です。

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90度移相ラインは、1.5c-XVを使って、給電部は以下のように作っています

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仮設した状態ですが、なかなか可愛いアンテナで見かけはよいようです。VSWRは1.5くらいでした。

上げてから少し受信してみましたが、ダイポールよりは長い時間聴こえているようです。これで位置を変えてみたりして、数日、受信してみたいと思います。
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435MHzの受信部のRFアンプとミキサーの回路図は前に記載済ですが、145MHzのときと同じ回路です。

ローカル信号部分を製作していきます。といってもSi5351の出力の3倍の高調波を使用する前提で確認をします。まず、Si5351で必要なローカル周波数は、(435MHz-IF周波数)/3になりますので発振周波数を141MHz付近に合わせてスペクトラムを確認します(下図)。

ここでレベルを確認すると基本波(青色)が7.8dBm、必要な3倍(赤色)が-8dBm程度であることがわかります。このままでは、基本波レベルが高すぎるのでフィルターを製作する必要があります。今回使用するミキサはローカルアンプが内蔵されているのでレベルとしては-15dBm程度でよいことから多少ロスがあるBPFを入れれば簡単にできそうです。

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製作したBPFは、記事①と同じ簡単な構造のものを作りました。写真の青色がRF入力フィルターで、赤色がローカル用のBPFです。

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フィルター特性は、前に書いたRF用のものと同等です。フィルター通過後のスペクトラムをみると以下のようになり基本波レベルが低下して、3倍波が-8dBm程度で得られています


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受信感度は、かなりよい感じです。SGを最大に絞った-127dBmでもはっきり聞こえる程度になりました。

アンテナは、前に作った園芸パイプの7エレで朝方FO99のビーコンは、アンテナが向いていませんが弱いながら受信できました。











最終的にCAS4Bがベランダホイップでよく聴こえるくらいになりました。
 

以下、古いFMラジオICをSSB、CW受信につかってみた受信部のまとめです。

●歪について
IF部以降を昔のFMラジオICで簡単に作ってみましたが、復調音声出力の歪がとんでもなく大きい問題があります。

そもそもFM受信は利得を思い切り上げて飽和させてリミッターをかけてAM変動分を除去してから復調するようになっていますので、これは仕方がありません。

歪率は、数十パーセントくらいあります。CW信号も濁って聞こえます。よくわかるように実際、144MHzのFT8の信号を受信するとこんな感じになりました(笑)。これは1150Hzと1500Hz付近に2局がでているのですが、2倍の2300,3000Hz付近に帯域の広がった二つの信号がよく見えています。これでは、実用上問題がありますね。
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そこで何とかならないかとレベル調整やインピーダンス変換回路を見直してみました。結果として、少し改善して、歪が数パーセントレベルまでに抑えることができました。なかなか難しいです

まだ歪はありますが、かなり改善したので、通常のSSBやCWであれば使えるレベルまでになりました。
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●IFフィルター
帯域が左右対称になるには、水晶7個くらい必要でした。インピーダンスを合わせるのが難しくて、、あってないと帯域内のリプルが10dB程度とかなり大きくなります。今回はFMラジオICのIF入力インピーダンスが300Ω程度なので利得は下がりますが抵抗で合わせています。また、ミキサと水晶フィルターの間は4:1のトランスを入れてかなりリプルがなくなるところまでできました。

特性は、こんな感じです。11.0592MHzの水晶7ポール、コンデンサは68pF、33pFです
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●感度
IFアンプだけで、11MHzにおいて感度は、-120dBmのキャリアが聴こえる程度で、ローノイズのフロントエンドがあれば十分です。今回の構成で144MHzの-127dBmのキャリアでも十分確認できました。


●Sメータ
感度が悪いです。カタログでも、メータの電圧が増え始めるのが30dBμからなので、感じとしてはS5くらいからしかメーターの針は振れませんが、まあ目安程度にはなります。

●AGC
FM用なので、そもそもAGCはないのですが、リミッター的に過大入力に対してリミットは効くようです。そのため、ローカルの強力なSSB信号でも復調はできます。



。。。次は435MHzの受信部に取りかかります









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