前回のブログでミニループの利得は、EFHWロッドアンテナより-6dB程度低いという測定結果でした。実際にフィールドで使ってどれくらいの変化があるのか試してみたくなりました。

アンテナの性能比較では、SSBなどでは受信でアンテナを切り替えて信号強度を比較するのが一般的ですが、FT8でもSNが読み取れますので同様の比較が行えます。しかし、FT8では多くの方がPSKR(PSK reporter)を使って飛んでるチェックをされているので、今回はこのツールを使ってアンテナ比較をしてみることにしました。

移動場所は、144MHz 1mWで交信実績のある高尾山。今月2度目になりますが、長雨のあとの5/24に登ってみました。お天気も良いので大勢の人が山頂におられましたが、前回同様、こちらの設備は目立たないので山頂で休んでいる方の間に座って運用してみました。

まず、PSKRのレポート機能は、最低15分、最大24時間のレポートが表示されます。最低15分という機能を使って、最初に利得の低いミニループアンテナを使って送信して、15分以上たってからEFHWロッドアンテナでCQを出してみることにしました。

実際には、時間がたつことで受信されているレポーターの数やアンテナ方向が変えられたりしますがHFと違ってコンディションの変化が殆どありません。意外に平日昼の144MHzでも大勢の方がFT8の受信をされているので視覚的にわかって面白いのではと思いました。

①ミニループアンテナ
●設置状況...ループ平面の真横に電波が強く放出されますので東京、千葉がカバーできる方向に向けました。
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●結果
平日のお昼ですが、CQを出すと早速呼ばれてスマホがどんどん交信していきます。出力たったの1mWですが144MHzのFT8の移動は本当に面白いです。早速PSKRをみると千葉県まで飛んでました。高尾山は地図上のXの位置になり、距離にして96kmくらいです。実際にこの局と交信できました。
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②EFHWロッドアンテナ
●設置状況は写真の通りです。
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●結果
設備を切り替えて交信を続けました。15分くらい経過してPSKRをみると下図のようにかなり飛んでいるようでビックリ。あらたに受信された局の受信レベルをみると-17dBから‐21dBとなっており、これらは、EFHWロッドアンテナにしてようやく届いたことが分かります。

最終的には30分で5局と交信できました(平日のお昼なので数局交信すると呼ばれなくなります)。千葉県の外房や茨城県くらいまで飛んでいます。やはりアンテナの性能差はかなりありますね。

下図の白文字の3局がミニループの時にも受信されていた局になりますが、受信SNを見ると近くの2局は、+6dBと+10dB強くなっていてアンテナの利得差とほぼ一致するような結果が得られました。

また、千葉の局は反対に-5dB弱くなっていることが分かります。これは??ですが前にCB機でここから木更津の局と交信したときに周期的なフェージングが大きくあったので東京湾を挟むことでその影響があったのではと推測しています。

いずれにしても受信できている局が一度に見られてそれぞれのSN値が一度に取得できるというのは、素晴らしいものです。単なる「飛んでるチェック」ツールとしてでなく、アンテナ比較実験などにも活用できますので活用してみてはいかがでしょうか。

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最後に今回の富士山です。雨上がりに登ったのでこの時期としては最高の景色がみられました。長雨が続きますが、外にでてみるとよいことがありますね

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