前回製作したEFHWロッドアンテナは、よく飛ぶので気に入っているのですが、長さが1mと街中では結構目立つので鞄の中に入れたままステルス運用ができるようなものを考えてみました。そして、FM放送やエアバンド受信にも対応できるようなものができないか考えてみました。

①アンテナの原理
下図の左のEFHWアンテナのマッチング部分は可変方式で広帯域ですのでハイインピーダンスのアンテナとマッチングが取れるのでエレメント長を可変すれば広帯域に対応できます。しかし1m長のロッドアンテナでは高い周波数には可変できるのですが、FM放送などに対応しようとすると2m近くの長さが必要になります。ここで、GAWANT方式のような極端に短いアンテナで共振器だけ合わせることもできますが、性能的にはかなり劣ります。

そこで下図の真ん中のように共振ループを使うことにしました。小型のループでもコンデンサC2の値を大きくすることで低い周波数にも共振させることができます。共振時のC2の両端のインピーダンスは最大になるのでこれとEFHWのチューナー部分と組み合わせれば広帯域に使えることになります。
加えてC1とC2は並列接続のため実際は1つの可変コンデンサで使うことができそうです。市販品を調べてみると回路とかは不明ですが海外製品でも同じようなものもあるようでした。

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②試作
前回のEFHWチューナーの回路と同じものを使って直径21cmと13cmの2種類のものを試作してみました。銅線は、昔自作したリニアアンプの電源トランスが焼損したときに銅線のみ取り出したものです(笑)

ポリバリコンを使って周波数を可変してみたところ,80~180MHzくらいまで綺麗にVSWRが下がりましたので使えそうです。

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③特性比較
3-1 VSWR特性
帯域特性を比較したものを写真で示します。右の小さい方のループがやはり狭帯域となります。
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また、EFHWロッドアンテナとも比較してみました。下写真のようにEFHWロッドアンテナの方が帯域は広いようです(右がEFHWロッドアンテナ)
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3-2 利得、フロントサイド比など
上の写真のアンテナアナライザー(TE2101)を電界測定時の信号発生器として使用しました(SPANゼロ設定で広帯域の信号源として使えます)。アナライザからの信号レベルは大きいためアッテネータをつないで無許可の範囲として垂直のアンテナで距離5mとしました。また、電界強度受信機はWVU604F2(144MHz拡張版)を使っています(絶対値はあっていないので相対値で比較用としてご覧ください)。

結果からまとめると以下のようになります。
(1)ループの直径で利得差が割とある。
(2)ループのFS比は4~5dB程度
(3)EFHWロッドアンテナの利得は垂直ダイポールと同様と考えられるので、直径21cmのミニループの利得は-6dB、直径13cmは-11dBとなる

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